大阪高等裁判所 昭和55年(ネ)77号 判決
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【判旨】
2 <証拠>によると、被控訴人常務理事の金子光夫は、昭和四七年六月一〇日、翌一一日開催の理事会の招集通知を当時の理事八名のうち、二宮源兵、土倉祥、西浦一彦、横田栄三郎、澄川龍祐に電話でしたことが認められる。被控訴人は勝山安太郎及び控訴人に対して右招集通知をしていないことを自認する。
社会福祉法人の理事会招集手続につき、一部理事に対する招集通知欠缺のかしがあるときでも、右かしが重大でなく、かつ右一部理事が理事会に出席討議しても決議の結果に影響を及ぼさないと認められるときは、右決議は無効とならないと解するのが相当である。
そこで、八名の理事のうち右二名に対する招集通知の欠缺が右理事会の決議を無効とするかについて検討する。
<証拠>によると、被控訴人の理事会は昭和三三年の設立以来殆ど開催されていなかつたところ、右勝山は控訴人から昭和四七年七月一八日に理事会を開催するとしてその招集通知を受けたが、理事長に同理事会における議決権等一切を委任し、同日理事辞任の申出をしたことが認められ、これらの事実に<証拠>を総合すると、右勝山はかねてから理事辞任の意向を有し、理事としての職務を殆どとることなく同日正式に辞任したことが認められ、右認定を左右するに足りる証拠はない。
右認定のように右勝山が理事の職務を殆どとつたことがなく理事辞任の意向を有していたこと及び前記のように右理事会は控訴人が詐欺罪で逮捕されたことが新聞で大きく報道されたことなどから、神戸市と兵庫県の担当職員からの指示もあつて開催され、出席理事五名全員一致で前記決議がなされるに至つたことを考慮すれば、右勝山が理事会に出席討議しても、決議の結果に影響を及ぼさなかつたと認めうる。また控訴人は当時逮捕・勾留により身柄を拘束され、招集通知を受けても理事会への出席は不可能であつた。<証拠>によれば、被控訴人は設立以後任期満了による理事の退任・選任登記をせず、昭和四二年四月被控訴人発行の「神戸実業学院概要」に理事として右勝山の氏名を記載していなかつたこともあつて、同人が被控訴人の理事か必ずしも明らかでなかつたことが認められ、前記事情にこれらの事情をもあわせ考慮すれば、前記両名に対する招集通知の欠缺は決議を無効とするほど重大なかしとはいえない。
従つて、右招集通知の欠缺は前記理事会の決議を無効としない。
(小西勝 大須賀欣一 吉岡浩)